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~第二章~第六話

アゴク、クロノ、グローヴァの三人は他のトーア達と別れた後、先程プティングとの戦闘を行った跡地へ向かっていた。

「俺の予想が正しければ、奴はまだそう遠くへは行っていないはずだ。」
グローヴァは歩きながら呟く。
仲間を捕らわれ、敵から背を向けるという行為は彼にとって大きな屈辱であった。

「しかし戦争中だから当然っちゃぁ当然だが、な~んか嫌な予感がするな・・・。」
「・・・周囲で闇が蠢いている・・・そんな感覚だ・・・。」
クロノの声に答えたアゴクは、頭を押さえて俯いている。



「その予感は大当たりみたいだね、偉大なトーアさん達よぉ。」

「!!!」

突如背後からかけられた声に、素早く反応する三人。
なんと、背後には探していた男、プティングが立っていたのだ。

素早く応戦する三人。
クロノの大鎌をかわしたプティングは、ひらりと宙を舞う。
「まさか、僕ちんが一人で来ただなんて思ってないだろうな?」

「なに・・・ッ!?」

クロノの背後に、突然影が現れる。
と、同時に影の正体、レイラーはライトニング・スピアを彼に突き立てた。
その目は光を失い、感情もなく、ただ目的を果たすことだけに集中している。
レイラーの雷を受けたクロノは素早く距離を取るが、稲妻が体中を走り、体の自由を奪う。

「・・・わざわざ姿を現すとは。探す手間が省けたぜ。」
グローヴァは言うと、クロスボウを構える。
「クロノ、アゴク。レイラーを引き付けていてくれ。俺があいつを倒す。」

「・・・いや、悪いがそうもいかなさそうだ・・・見ろ!」

グローヴァが引き金を引こうとした瞬間。

アゴクの目の前の【空間】に、歪みが生じる。
アゴクは突然の出来事にかわすことが出来ず、空間の歪みから突如現れた鋭利な爪による斬撃を、正面から食らってしまった。

「アゴク!!」
「・・・大丈夫だ、まだ戦える。だが・・・。」
立ち上がったアゴクは、答えるが、様子がおかしい。
彼の体からは闇の力が溢れだし、彼自身もその力を制御出来ていないようだ。

「くっ・・・さっきから調子が出ないと思ったら・・・貴様か・・・巨大な闇の正体は・・・。」

アゴクの目の前の空間の歪みが消え、闇の正体が現れる。
白い体に巨大な鉤爪。
背筋も凍るような鋭い目に、トーアの身の丈を超す大きな体。

最悪の化け物、ハクネスがそこに立っていた。



オーダーオブコネトの三人は、戦況を整えるため一度距離を取る。
三人の前には、プティング、ハクネス、そして洗脳されたレイラーが立ち塞がっていた。

「どうだい?僕ちんのお仲間達は。少しは楽しませてくれよ?」
プティングはぴょんぴょん飛び跳ねながら口を開く。
レイラーは黙ったままだ。
そしてハクネスが、ゆっくりと動き出す。
「・・・オーダーオブコネトか。準備運動には丁度いいか。」
言うと、再び空間が歪み、ハクネスの姿が消える。

「気を付けろ!恐らく奴は、空間を自在に操る能力を持っている!どこから現れるか・・・」

「無駄口を叩いてる場合か?」
突如アゴクの背後に現れたハクネスは、強力な鉤爪で彼を捕らえ、別空間の中に引きずりこんだ。

「アゴク!!」

「お前の相手は僕ちんだよ!」
アゴクとハクネスに気を取られていたグローヴァの前に、プティングが立ちはだかる。
クロノの前には、レイラーがライトニング・スピアを構え、こちらの出を窺っている。

「・・・くそ、しょうがねぇな。まずは・・・貴様だ!」
グローヴァは言うと、プティングに向かっていった。





「・・・ぐっ!!」

ハクネスと共に別空間へ飛ばされたアゴクは、コア・ハーツの外れに飛ばされていた。
地面を転がるアゴクと、音も立てずに着地するハクネス。
アゴクが体勢を立て直すのを見届けながら、ハクネスは口を開いた。

「どうやらあの中ではお前が一番強いらしいな。しっかり楽しませてくれよ?」

「・・・ふん、悪いが楽しませてやるほど暇じゃないんでな。お前を倒し、すぐに仲間の元へ向かわせてもらう。」
アゴクは言うと、ツールを構え、ハクネスに向かっていく。
だが、奴に近付けば近付くほど、自身に眠る闇の力が増大し、コントロールできなくなる。

「その程度か?」

ハクネスは再び姿を消したかと思うと、素早くアゴクの背後に回り込み、体を切り裂く。

「ぐわぁ・・・!!」
地面に倒れ伏すアゴク。
立ち上がろうとしても、自身のエレメントパワーの制御に精一杯で、それも叶わない。

「ふ、まさか自分のエレメントパワーも制御出来ていないのか?そんな有様で、よく大口を叩けたもんだな。」
ハクネスはゆっくりと歩み寄ってくる。

「・・・そうだな、なら、これならどうだ!」
近付いたハクネスに、闇のエネルギーを放つアゴク。
彼自身でも制御出来ないほどの、巨大なパワーだ。
だが・・・。

「俺に向かって闇のパワーを放つとは愚かだな。」
ハクネスは言うと、左手で闇を受け止める。
二つの力が混ざり合い、周囲を巻き上げて消失する。

「生憎、俺も闇を操る能力者だ。」

ハクネスは闇を掻き消すと、再びアゴクに向かっていった。
アゴクはなんとか攻撃を防ぐが、ハクネスの強力な力の前に為す術もなく、防戦一方だ。
攻撃しようとしても、すぐにハクネスは別空間に消えてしまう。

(なんとか・・・なんとかして攻撃を当てることが出来れば・・・!)

アゴクはマスクの力を使おうと試みるが、闇のパワーが暴走している今、さらに体に負担をかけるわけにはいかない。
マスクアビリティを使うとしても、一度で精一杯だ。
その一撃を外せば、もう動くことは出来ないだろう。
一方ハクネスは余裕の表情を浮かべ、じわじわとアゴクの体力を奪っていく。

(こいつを倒すためには、あれを使うしかない・・・。)
アゴクは戦いながら、そう考える。

(既に先程のファグルとの共闘で使用した分、体への負担はかなりのものだろうな・・・だが、仕方がない・・・)



「仲間のためなら覚悟はできているさ。」

一度ハクネスから距離を取り、闇のエレメントパワーを纏わせた大鎌を構えるアゴク。
ハクネスも、先程までとは様子が違うアゴクの出方を窺っているのか、攻撃してこない。



「確率変動のマスク。」

<続く>

  by wataridorii-ss | 2012-12-17 21:20 | ~第二章~

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